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宮本武蔵の奥義
 
 親の慈愛を顧みず、武術の道を志して家を飛び出した武蔵。

そんな武蔵が、過酷な試練の道を生き抜いて、後年亡き父を慕って詠んだ短歌。
   

          闇の夜に 鳴かぬ烏の 声聞かば

     生まれぬ先の 父ぞ恋しき


夜の暗闇に烏(カラス)は飛びません。鳴きません。
鳴いてもいない烏の声が聞こえる?生まれぬ先?
まだこの世に産声も上げてはいないのに?この世に現れてはいない父が恋しい?

理屈では、理解不可能です。この歌は。

この歌には、この世の「空」を悟った宮本武蔵の万感こもった「無常」が、静寂の水面のように表れています。

幾多の血みどろの修羅場をかいくぐって生きて来た人間の到達した極限の境地。
何とも言いいようのない天と地との狭間に立つ武蔵。

沢庵和尚は、ひれ伏して教えを乞う武蔵に、無言で武蔵の回りを回って杖でぐるりと
「円」を書き、何も言わず立ち去ったとあります。

「○」は、終わりのない永遠。人の世もまた同じ。
武蔵の「円明流」の名は、ここから来たのですね。

剣豪・宮本武蔵は、こういう人物でした。

 ある時、剣の修行にある者が、武蔵にその極意を教えてくれと頼みました。
それに対して武蔵は、「抜き身の刀を天井から紐で吊して、その下で眠るがよろしい。剣の道とは、そういうもの。」と答えたといいます。

 同じTVを見るのも、こんなことを想い浮かべながら見ると、全然違う深い味わいが出て来るものです。ぜひこのたまらない境地を垣間見てください。
(H15.5.11)       
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